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【M&Aコラム】M&A事例: トップカルチャー(7640)によるトーハンへの第三者割当(2023/8/17)

  • 2023年8月18日
  • 読了時間: 4分

更新日:19 時間前



JDSCに続いて、第三者割当特集です。今回は、2023年8月17日に発表された、トップカルチャー(7640)によるトーハンへの第三者割当です。


ポイントは、3つ。


(1)大幅な事業転換を伴う増資


(2)大幅な希薄化が発生(発行済株式数の25%以上の希薄化)


(3)中期計画も同時発表




(1)大幅な事業転換を伴う増資



①スキーム


まずは、スキーム説明。これはシンプルな第三者割当増資で、上場企業であるトップカルチャー(7640)が、普通株式の新規発行によって、取引先のトーハンを割当先とする第三者割当を実施するもの。ロジックとしては、トーハンに割り当てるとともに、協働することでEPS(1株当たり利益)を増資前よりも上げ、株価を上げること。明確に言わないものの、そのイメージが既存株主や投資家に伝わらないと、差し止めリスクが生じる。



②発行価額


公表前日(8/16)株価(190円)もしくは、条件決定日(8/23)のいずれが高い方。同時に発表した中期計画への評価を見たいのかな。ちなみに、8/18終値は190円。




(2)大幅な希薄化が発生(発行済株式数の25%以上の希薄化)



①意見書の入手


東証が定める第三者割当のルールでは、希薄化率が25%を超える場合、1)株主総会で株主から賛同を得るか、2)独立した者からの意見書入手が求められる。


今回のケースでは、トップカルチャーの社外取締役・社外監査役から意見書を入手。なお、意見書には、「必要性及び相当性」の記載が求められ、この新株発行による資金調達が「経営陣の保身ではなく、あくまでも株主価値増大に寄与する」というストーリーが必要であり、それを第三者が認めている構成が求めれられる。(そうでないと、既存株主からの差し止め請求に耐えられない)



②必要性・相当性


具体的には、必要性・相当性を説明するには「調達資金は将来的な投資に使われること」「借入や他のファイナンス手法よりも第三者割当増資が妥当」というロジック作りが必要となる。従って、資金使途を「借入返済」「運転資金に充当」となると、トーハンからの調達ロジックが弱くなったり、割当先を「経営陣」にすると、保身に映るので、説得力に欠ける。


特に今回は、25%を超える希薄化率かつトーハンは筆頭株主になるので、既存株主への説明責任は相当なものとなる。従って、確りとした説明が求められる。




(3)中期計画も同時発表



①ストーリー作りのためのツール


上記(2)の通り、中計を同時に発表したのは、必要性・相当性の説明ロジックを構成する上で、必要な「ツール」であるため、特に既存株主への説明には、欠かせないパーツとなる。



教科書通りの第三者割当ですが、中期計画も入念に準備しながら、割当先との交渉、既存株主への説明など、思い立ってできるスキームではないので、少なくとも3~6ヵ月前から準備を開始する必要がある。



なお、それでも差し止め請求が来た場合、発表日から払込日までの間に、裁判所は決断をしないといけなくなり、迅速な対応が必要となります。今回は、払込日が9/29(独禁法の届出のため)と長いので、まだそこまでではないですが、独禁法上の届け出が不要で、会社法上の決議から払込日まで、中14日という最短日程の場合、かなりタイトとなります。(金商法に基づく、有価証券届出書の効力発生も短縮が認められる場合)



具体的には、一例ですが、以下の日程感で対応しなければならない。



8/21月~22火 裁判所から差し止め請求の事実を伝えられ、請求理由への説明が求められる。提出期限は2日営業日後。


8/23水~24木 裁判所に回答・関連資料を提出。


8/24木~25金 裁判所から2回目の説明・関連資料が求められる。提出期限は、翌営業日。


8/25金~28月 裁判所に2回目の回答・関連資料を提出。裁判所からの呼び出し。


8/28月~29火 裁判所で株主と対峙。


8/29火~8/30水 裁判所により、差し止め請求棄却or認定の判断。


9/1金 払込日



ということで、もし差し止め請求の申し立てリスクが高い場合、事前に万全の準備体制を整えて、望む必要がある。私も昔苦い経験があり、この2週間、クライアントの事務所&近くのホテルでの泊まりこみ対応を行い、夜な夜な大量の資料コピーを行いました。



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(続編)8/24 条件決定の発表リリースがあり、発行価額は190円に決定しています。

 
 
 

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