M&A Advisory Platform(M.A.P.)開始にあたっての思い ※ブログからの引用




約半年前に会社を退職し、起業準備に突入。青写程度の起業プランを2-3個、頭を巡らしたものの、これまでの経験と知識が活かせるM&A関連のビジネスに行き着く。ようやく年末に第一弾をリリース。ベータ版に近く見切り発車の感は否めないので、記録としての現状まとめです。(長文になりますので、予めご留意ください。)



■ M&A Advisory Platform(M.A.P.)とは?


当社が開発したM.A.P.(エムエーピー)は、アドバイザリー機能を備えたM&Aプラットフォームです。クライアントファーストなアドバイザリーサービスを提供したいと思う一方、一から案件のソーシングは大変なので、オンラインベースのプラットフォームを活用して、M&Aマッチング~エクセキューションまで効率的にM&Aアドバイザリー業務を手掛けるために開発。ユーザー目線では、買い手・売り手ともM&Aマッチングできる点は、他のプットフォームと同じですが、エクセキューション機能まで備える点が他社との違いとなる。また、特徴としては、売り手をクライアントと位置づけ、売り手有利なM&Aプロセス(オークション形式)で案件を進められるプラットフォームであること。ちなみに他のプラットフォームの多くは、買い手が有料ですが、M.A.P.では買い手は無料です。



■ M.A.P.事業化にあたって


事業を始める上で、まず考えたのは、①対象顧客の分類、②競合他社の特定、③差別化、④クライアントへのリーチ、⑤クライアントとのwin-win関係の構築


① 対象顧客の分類: M&Aマーケットは伸びているものの、既に専門家・アドバイザー・仲介者・プラットフォーマーなど、大手を含め、競争激化な業界。案件難易度の観点から、大手企業向けやクロスボーダー案件というより、まずは国内中小企業にフォーカス。


② 競合他社: 国内中小企業向けM&Aサービスも(1)M&A仲介者、(2)税理士/会計事務所、(3)大手・地方含む金融機関、(4)M&Aプラットフォーマーなど、既に競争し合っている状況。コロナ以前は、地方にも点在している中小企業相手にはマンパワー資本力がモノをいうところがあった。但し、中小企業もコロナによってリモート化が少しずつ浸透していることから、M&Aプラットフォームは、マンパワーと資本力を幾分か補完できる非常に魅力的な手段だと感じている。実際の競合他社となると、M&A仲介者とM&Aプラットフォーマーと想定。

*上記、経産省 中小企業庁 平成29年7月「中小企業の事業承継に関する集中実施期間について(事業承継5ヶ年計画)」より抜粋。



③ 差別化: 売り手クライアントと位置付ける。(A)M&A仲介者は買い手・売り手の双方からフィーを受領、(B)M&Aプラットフォーマーは買い手からフィーを受領するケースが多い。私の経験では、まずM&Aのクライアントと言えば、売り手だったので、上記記載の通り、売り手のためのサービスを徹底し、買い手はむしろ無料でサービスを利用頂く、という形で差別化を図る方針。(詳細は、次章で説明)。


④ クライアントへのリーチ: 正直今は手探り状態。過去のクライアントがまずはベースだが、如何せん中小企業のネットワークが乏しい。10年以上前にIPOを手掛けていた際は、それなりにあったが、既に過去のこと。SEOやらSNSやらオンラインマーケティングは多種多様で慣れが必要だが、当面は投資銀行で長年アドバイスをしてきた案件実績、クライアントとの案件を通して得たM&Aの経験・知見・知識、クライアントファーストで公正・誠実なアドバイスを行ってきたスタンスなどを様々なところで情報を発信し、少しでも多くの潜在クライアントに認知頂くことを行っていく。なお、国内中小企業の多くは、オフラインでの活動がメインであり、競合他社との主戦場でもあるので、事業が進捗次第(次の開発が終わり次第)、覚悟をもって臨む予定。今後オンラインセミナーも定期的に実施しますので、ご興味のある方は以下より参加申込をお願いします。

https://maadvisoryplatform.com/show_news/3


⑤ クライアントとのwin-win関係の構築: ビジネスを行う上で、クライアントとwin-winの関係を求めることは必須だと思う。クライアントにとってM.A.P.を利用するメリットは何か。クライアントがM&Aを行う際の懸念は何か。起業した以上、これまで所属していた組織では、やりたくてもできなかったことに純粋に取り組んでいきたい。M&Aビジネスは、単発・短期間で終わる所謂フロー型ビジネスですが、長い目でクライアントとwin-winな関係を構築できる事業を模索して行きたいと考えている。



■ 差別化への取り組みについて


以下、経産省 中小企業庁 2020年3月31日「中小M&Aガイドライン」より抜粋。ここには、中小企業のM&Aの課題がいくつか挙がっている。まずはこれらを一つ一つ解決するサービスを提供することが、クライアントのメリットにつながるのでは?と考えている。




1. M&A仲介事業はやらない


色々と言われているように、私の経験でも、100%中立な立場で、買い手・売り手双方に、価値あるアドバイスを行うことはほぼ不可能であり、逆に、良いアドバイスをすればするほどクライアントからは不審がられ、斜めに見られる可能性が高い。とはいえ、中小企業のM&Aにおいて、仲介者が果たす役割の大きさを考えると、それ以上にM&A相手探しを仲介者に求めるニーズが強いということだろう。


M.A.P.では、クライアントに誠実に向き合っていきたいので、利益相反となる仲介事業はやらない方針。



2. 売り手有料、買い手無料


M&Aプラットフォーム(マッチングサイト)は、面白いことに、数あるサイトを見ると、手数料に関して、ほとんどが買い手が有料、売り手は無料という仕組み


売り手を獲得することが、M&Aビジネスの起点になるので、恐らく如何にサイト上に売り手を呼び込むか、という観点での帰結なのでしょうか。金払いの点でも、買収資金の出し手である買い手の方が企業規模が大きく、M&Aも何度か経験している可能性があるので、売り手に比べて手数料への心理的なハードルは下がるという面もある気がします。


個人的に買い手/有料、売り手/無料というサービスは、「無料の売り手にはアドバイスしません」と言っている気がします。或いは、「M&A経験がないので、売り手FAは務まらない」や「売り手FAは、資料作成・整理、M&Aプロセスの準備など、FAとして手間や労力がかかる」という背景もあるのかもしれません。


国内中小企業の売り手は、M&A初心者(最初で最後)、買い手は熟練者(何度も経験)のケースが多い印象を受けるので、M&Aに不安を抱く売り手の立場に立ってサービスを提供していく方針。また、M.A.P.では、売り手からアドバイザリー手数料を頂く以上、売却価格の最大化、売り手が望む契約条件の獲得など、売り手が有利となるアドバイス(を提供して、マッチング~クロージングまでフルサポートする方針。



3. 完全成功報酬型のフィー体系


売り手有利なアドバイスを提供するとはいえ、売り手がアドバイザリー手数料の支払う場合、買い手よりハードルが高いのは事実。従って、着手金・月額リテーナー・中間報酬は一切なし案件完了時に手数料一本で報酬を頂く方針。文字通りの完全成功報酬型であり、途中で案件が中止したら、フィーはゼロ。最終契約締結後、クロージング一歩手間で競争法で引っかかり、クロージングを迎えられなかった場合もフィーはゼロ。あくまでも、クライアント(売り手)としては、会社・事業を売却し、手元に売却代金が入金されて初めて案件完了(クロージング)となるので、目指すべきゴールは、クロージング。クライアントとは、そのゴールをしっかり共有した上で、アドバイザリー契約を締結したい。投資銀行では、当たり前のフィー体系なので、特別なことではないが。


フィー手数料も、中小企業M&Aでは、レーマン方式が主流のようですが、M.A.P.を活用することで、EV(企業価値)に対して、①フルサポートであれば、2%(下限は200万円)、②簡易サポートであれば、1%(下限は100万円)。例:12億円の案件の場合、レーマン方式:5,100万円、M.A.P.:2,400万円(フルサービス)と半額以下に抑えられる。なお、当社としてはM.A.P.の活用で人件費を抑える考え。




成功報酬型フィー体系であれば、競合他社同様にアドバイスの中で案件成約バイアスが入りがちになるのでは?、とたまに指摘を受ける。自分自身も全くそれはゼロというのは正直嘘になるが、ただ、最終的な案件の意思決定はあくまでもクライアント側にあることは、絶対に忘れてはいけない。アドバイザーとしては、一歩下がってクライアントファーストにアドバイスができるか、クライアントが忖度なく思っていることを言い合える関係になっているか、クライアントの立場で明らかにM&Aを中止した方が良い状況で中止のアドバイスができるか、クライアントと長期的な信頼関係を望んでいて、クライアントの目指す利益・目的を理解し、その達成のためのアドバイスを行っているか、それらを常に意識することが非常に重要なポイントだと常々考えており、もちろんバイアスが掛からないように心掛けている。



4. 売り手有利なM&Aプロセス


売り手FAと言えば、オークション方式のM&Aプロセスで進めるのが当たり前と思っていた。しかし、私の知る限り、国内中小企業のM&Aでは、どうも様子が違う。例え良い案件でも基本合意時点で買い手を1社に絞らないといけないらしい。売り手の交渉力は、買い手を1社に絞った時点で極めて弱くなるので、M&Aの相対取引では圧倒的に売り手不利となる。ましてや、売り手がM&A初心者であれば、尚更。従って、買い手からの最終提案を受領後、最終契約交渉に入るぎりっぎり手前まで、買い手に競争を意識させつつ、複数の買い手と並行して協議・交渉し、この相手であれば最終契約の交渉に入っても良いと思える状況まで買い手を1社に絞らない方が、売り手にとっては理想的なプロセス。なお、日々の業務をしながら、複数の買い手によるDD対応ができない状況が中小企業の場合は十分あり得るし、基本合意時点で1社に選ばないといけないケースも多いはず。但し、実質相対交渉であっても、買い手側をオープンにしておくだけで、売り手の交渉力は強まる(別に周回遅れで新しい買い手と協議を始めても良い)。繰り返しだが、常に買い手には他のinterloper(新しい買い手参加者)を意識させることは極めて重要。では、どうして早々に買い手を1社に絞らないと駄目なのか。


M&A仲介の場合、売り手・買い手の両方からの成功報酬を確保するために、基本合意時点で相対取引の形を作る。DD以降、両者を仲介の立場でサポートすることで、互いにサービスを提供するという進め方。オークション形式のように、買い手側をオープン(いつでも新しい買い手が参加可能な状態)にしておくと、最終契約を締結する買い手からのフィーを取り逃がすリスクがあるため、オークション形式は採用したくないという、仲介側の都合が発生する(=その都合を売り手に押し付けているという構造とも理解できる)。M&Aプラットフォームも買い手から手数料を取る手前、同様の仕組みとなる。


M.A.P.は、クライアントを売り手としており、オークション形式で進めることを前提に設計・開発されたので、むしろ売り手有利なM&Aプロセスで進めることができるのが、大きな違い(売り手の立場に立てば、当たり前のサービスではありますが)。


一方で、売却しづらい案件、買い手が複数現れない案件、スピード重視の案件では、オークションでのプロセスがなじまないこともあるので、緩いオークションプロセスなど、ケースバイケースで進め方の工夫は必要となる。



5. プラットフォーム機能


M&Aプラットフォームは、非常に画期的なサービスで個人的にも今後ユーザーの利便性向上にかなり貢献すると考えている。特に、M&Aの中では、クロスセクター案件(異業種間のM&A:小売り×テクノロジー、製造業×ヘルスケアetc)が増えていて、M&A専門家では思いつかないアングルの組み合わせによる案件成立も増えているので、情報管理には慎重にしつつも、ノンネームの案件をプラットフォーム上に並べるのは、現在の流れに合っている。


一方で、プラットフォーマーが、マッチング後~クロージングまでのエクセキューションを知識や経験のある担当者がサポートできているか、マッチングだけして、後は会計・法務などの専門家に丸投げし、成約時にフィーを請求するという案件が多くないか、気になった。この流れが続くと、よりM&Aマッチングにバイアスがかかり、結果的に売り手不利な案件が増えることになるだろう。


M.A.P.では、マッチングだけでなく、エクセキューション機能も実装させ、アドバイザリーサービスも備えて、テクノロジーを活用したM&Aアドバイザリーサービスを提供したいと考えている。プラットフォーム機能は、ユーザー側の利便性向上だけでなく、運営側の業務効率の手段として活用されるが、当社はクライアントへのM&Aアドバイザリーサービスに重きを置く方針。



6. その他


セカンドオピニオンはOK: 私の知る限り、M&Aアドバイザー、M&A仲介など、恐らくほとんどのM&A専門家とのアドバイザリー契約には、専任条項が存在する。つまり、他のM&A専門家には相談禁止という約束。だが、正直なところ経験上あまり意味をなさない。任用したアドバイザーに不信感が生じれば黙って聞くし、仮に契約違反としてもそれでもって金銭的な損害が生じるとは考えにくい。むしろ、クライアントファーストを考えた場合、この条項は無くし、クライアントにはセカンドオピニオンを気軽に聞ける状況にした方が良いと思っているので、M.A.P.では専任条項は設けない方針。もし、セカンドオピニオンによって、クライアントとの信頼関係が崩れ、契約がキャンセルになっても、クライアントの期待値を満たせなかったという整理だと思うので、それはビジネスである以上、仕方がないというスタンス。


テール条項は設けない: 仮に案件が途中で中断し、しばらく後で再開して成約した場合、中断する前に締結したアドバイザイリー契約のテール条項が有効であれば、再開後にアドバイザーが何もしなくても請求できるという条項。テール条項は、中断後1-2年間有効であるケースが多い。理屈としては、中断したとは言え、それまで汗を流したし、中断までのアドバイスのお陰でのちに成約したでしょ、ということ。正直、無理筋な約束なので、M.A.P.では設けない方針。



■ 今後の展開方針&取り組むべき課題


① 認知度向上のための情報発信

② 買い手・売り手の集客

③ M.A.P.の更なる開発(エクセキューションフェーズの充実)

④ M.A.P.を軌道に乗せる

⑤ クロスボーダー案件に対応するための海外進出



■ 最後に


今手掛けようとしてることは、ただの自己満足でしかなく本当に人の役に立つのか未だ半信半疑であり、今後どのような道を辿るのか想像つきません。長々書きましたが、やろうとしていることは、私が今まで上場企業をメインに行ってきたM&Aアドバイザリー業務を、中小企業向けにM&Aプラットフォーム上で行うだけなので、正直私にとって然程目新しいものではないです。それでも、国内中小企業のM&A環境の改善に少しでも役立つのであれば、手掛ける価値があると思った次第です

長文にも関わらず最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。


正直ここまで書いて大丈夫かと自分でも思いましたが、これが人のためにならないのなら価値ゼロですし、特に失うものはないので、投稿することにしました。むしろ、これを見て少しでも業界のことが気になる、ちょっとサービス覗いて見てみようかなと思って頂けると嬉しいです。


もし、クライアントへのリーチ方法、他にこうした方が良いよ、ここ間違っているよ等、コメントがあれば、是非お願いします。無意識に思い込みで書いている部分も多分にあると思いますので。


また、私の考えに共感頂き、一緒に事業を考えて頂ける方がいれば、同様に以下よりメッセージをお願いします。スタートアップに興味がある、M&A経験があり新しいことに挑戦したい、エンジニアの方で金融に興味ある、何かしらお手伝いしたい等、職種・内容は問いません。ぜひ気軽にお問い合わせください。まずは私とフランクに話をしましょう。

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